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アイフォース・コラム No.2 「提案型営業のはじめ」 その2

研究所に飛び込み営業した結果、とんでもない事になってしまいました。

「この子が俺のやってる仕事の文句をいいに着たんだよ。君たちどう思う?」

所長が発したその言葉を聴いた瞬間に、私の頭の中は真っ白になりました。

所長は私が手渡した3冊の提案書を、集まった所員の方々に配りました。所員の方々は、1~2分の間、ぺらぺらと提案書を読まれ、概要を把握されたのでしょう。それぞれに意見を述べられました。

「この分散開発に関しては、既に我々も検討を開始しております。」

「このグラフィック・ユーザーインタフェースを用いたソフトウェア開発の手法は、既にCTIの構想の中で検討を始めております。」

「このリグレッション試験の手法については、別の方法を提案したいと思います。」

流石、日本の通信技術の頂点に立つ方々である。一瞬にして300ページの提案書の要点をつかんだかと思えば、間髪を入れず、反論、対抗案を打ち出してこられます。

いや、考えてみれば当然の事ですよね。20代の若造が開発現場で考えた事など、業界の最前線で製品開発をされているベンダー技術者は当然考えていたに違いない事ですし、ましてや、業界の頂点に立つ通研の研究室長クラスの方々にとってみれば寝言同然の稚拙な内容だったことでしょう。数名の室長の発言を聞いて、研究所長がこうお話になりました。

「・・・だってさ。残念だね。君の提案はいらないみたいだよ。ご苦労さん。」

 

辞表を書く覚悟をした

所長があっけなくそうおっしゃった瞬間に、はっ、と我に返りました。所長以外は私も含めて全員立ったまま、数分間の議論を行いましたが、自分の提案が読むに値しないものだと評価された瞬間に一気に虚脱感が襲ってきたのです。

この日から10年近く経った時に知るのですが、この日、所長に呼ばれて集まった室長の方々は、いずれも某大手通信会社の社長級の重役になられた方々です。若造が書いた半端な論文とはいえ、300ページを数分で読み取り、概略を把握した上で、ご自分の上長にあたる所長に対し、評価を瞬時に且つ簡潔に意見できる能力・・・そのすさまじい実力は、並大抵のものではなかったのです。この時の方々が、10年後に日本最大級の通信会社グループのトップになられるわけですが、頷ける話です。尋常ならない能力、知力、対応力を見せていただいた瞬間でもありました。

肩を落とし、がっくりとしながら電車に乗り、自社に戻りました。

帰社した時間は覚えていませんが、昼食も食べず、そのまま帰社したのできっと14時過ぎ頃だったのではないでしょうか。自分のデスクにたどり着くまでもなく、私はその時勤めていた会社の社長に呼び出されました。

「何をしたのか!お前はこの会社をつぶす気か!馬鹿が!」

雷鳴の如く響く怒鳴り声で叱られたのです。私が所長に直接会いにいった事を、知った方がいらしたようで、その事が業界全体で噂になっていると・・・。「研究所に文句を言いに行ったやつがいるらしい・・・」とか、「研究所の技術はダメだと批判したらしい・・」とか、根も葉もないような噂が業界全体に広まっているとの事でした。

夕方には、さらにエスカレーションし、会社が取引先としていたいくつかの通信機器ベンダーのとある部署から連絡が入り、厳重注意の勧告があったそうです。

当然ながら、私は居る場所もなく、ただただ、鳴り続ける電話にビクビクと震え、自分がしてしまった過ちをかみ締めるしかなかったのでした。

 

どうしてこんな事になってしまったのか?自分はただ自己満足したかっただけではないのか?提案のつもりで作った書類が、”批判”として受け取られてしまったのはどうしてなのか?

良かれと思って考えた事が、実際には相手(お客様)に対して批判にしか見えていなかったのはなぜなのか?

そもそも、自分は何を目的としてこの提案書を作ったのか?何を最終ターゲットにしていたのか?解決案は本当にお客様の為になると確信できるのか?証明できるのか?成果は出たのか?

自問自答を繰り返しました。

 

何日間かそういった日が続き、これほどまでに会社に迷惑をかけてしまった責任を果たそうと辞表を書く決意でいました。

そんな時にある方から電話がかかってきたのです。

 

(つづく)

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このページは、Webmasterが2009年2月 5日 19:22に書いたブログ記事です。

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