2008年7月13日アーカイブ
とても尊敬している方からワインを頂戴した。
私などが贈り物を頂いてしまうなど、とてももったいない事なのであるが、ありがたく頂く事にした。
ドイツ ザクセン地方、ドレスデン近郊ラーデボイルにある州立のワイナリーで作られたワインだ。
丁寧に梱包されたワインには、ものすごく詳細な説明が書かれた説明書が同梱されていた。
「この度はご縁をいただきありがとうございます」
なんと、その説明書にはそのように書かれているのだ。
普通、商品の説明書には「お買い上げいただき・・・」と感謝の言葉が書かれるのが普通であろう。
しかし、この説明書には「ご縁をいただき」と書かれているのだ。
ワイン通の方には、もうどこの店の説明書かお分かりなのだろう。
高級ドイツワインの直輸入販売店「銀座ワイナックス」の説明書である。
説明書には、ワインの名前だけでなく、甘辛度、適賞味温度、特徴、生産年、品種、生産者についてのコメント、カロリーまで詳細に記載されている。
ワインという酒が、単なる嗜好品に留まらず愛好家の研究心、探究心を集めている事をうかがわさせる。
大変に心のこもった贈り物を頂いてしまったと思っていたら、数日後、やはり尊敬する別の方からRiedelのグラスを頂戴してしまったのだ。
これはいったい何を表しているのか?
「ご縁をいただきありがとうございます」
その言葉が、頭に浮かんだ。
7月13日、お盆の迎え火を謹んだ後、頂いたワインを、やはり頂いたグラスで楽しんでいる。
心からご縁に感謝しながら。
皆様のご健勝をお祈りしながら。
BGMは、もちろん、シュターツカペレ・ドレスデンのタンホイザーである。
妻家房 銀座5丁目ニューメルサ店 (さいかぼう)
銀座ニューメルサ7階、古川のお隣に韓国家庭料理のチェーン店、『妻家房(さいかぼう)』がある。
チェーン店といっても馬鹿にしてはいけない。
この店のスンドゥプチゲは非常に美味しい。
浅草という韓国料理屋の激戦地に生まれ、ソウル出張40回以上の私が言うのだから間違いない!
(いや、あやしい・・・という人もいるが)
その証拠に、この店の昼時には、付近の韓国系企業のビジネスマン達が沢山集まってくる。
彼らは家庭の味には非常にうるさい。
銀座にも沢山韓国料理屋があるが、この店のチゲがとても人気がある。

ランチのセットでは、水キムチ、白菜キムチ、海苔、ご飯がついてくる。
私はいつも「海鮮スンドゥプチゲ」の「辛口」を注文する。
「辛口」というのは、特にメニューにあるわけではないが、ソウルでは当たり前のオプションなので試しに言ってみたら、生の青唐辛子が刻まれて乗ってきた!
ばっちり。
熱々のスープをすする。
海鮮の出汁が胃にしみる。
後から追いかけるように青唐辛子の独特の辛味が唇を刺激する。
ヒリヒリになりそうな唇をいたわるように、ご飯を一口食べる。
また、スープを口に入れる。
スープとご飯が口の中で交じり合っていく。
これが、たまらない。
半分くらいスープを頂いた頃に、中に割りいれてある生卵にちょうど熱が入り、黄身が独特の黄金色に輝きだす。
こいつを注意深く、スプーンで掬い、ご飯の上に乗せる。
慌ててはいけない。
水キムチのスープで口の中をさっぱりさせたら、いよいよ、クライマックスである。
とろりと粘りが増した卵黄を一気にご飯の上で崩し、おもむろにスプーンをご飯の奥深くに差し入れる。
ご飯が持ち上がるたびに、トロリと黄身が流れ出し、それを大口を開けて食べるのである。
こんな、ご馳走がほかにあるだろうか。
鼻に抜けていく卵の甘みを楽しみながら、舌の上でご飯と卵黄の溶け具合を楽しむのである。
そして、懇ろになった頃、再度、スンドゥプの豆腐を口の中に追加する。
・・・南無観世音菩薩。
生きてて良かったと思う瞬間である。
日本橋 たいめいけん
日本橋たいめいけんの魅力は以前にもお話したが、中にはご不満に思われる食通の方も多いと聞く。
その主な理由は次のようなものだ。
- サービス態度がよくない。
- 相席になってしまう。
- それほど美味しいとは思わない。
上記のような不満は、主にたいめいけん1階の食堂での話ではないかと思う。
しかも、平日の昼食時・・・最も混雑している時間帯での事なのではなかろうか?
そもそも、たいめいけんは町の洋食食堂であり、高級なサービスを求めるべき場所ではない。
今時の東京で、たかだか1000円~2000円のメニューで、最上の贅沢など出来るはずもない。
東京の日本橋のど真ん中。
この場所に洋食屋を経営する事だけでも凄い事なのだ。
ラーメン屋に行って相席を怒る客などいるのだろうか?
昨今のグルメブーム、素人の採点ゴッコが、どうも全てのものを求めてしまうような風潮を作ってしまっているようである。
(そういう私も、思い出を忘れてしまわない様にこうしてブログに記録しているのだが・・)
最上のサービスが欲しいのであれば、この場所では最低でも2万円は用意しないと手に入らないであろう。
銀座であればこれが3万円になってしまう。
そういう贅沢さとは別に、よき時代の東京の洋食屋のスタイルが残っているのが「たいめいけん」であり、その、ある意味の素朴さが価値なのではないかと思っている。
2階のレストランでは、その良き時代の東京の洋食屋の雰囲気がタップリと味わえる。 しかも1階の食堂には無い、最高の食材と技を集結したこれぞ「たいめいけん」の味が味わえる。 前菜の盛り合わせである。 タコのマリネ・・・いつも別注してしまう逸品である。 レバーの醤油煮・・・しょうがで臭みを消したレバーは、ネットリトした食感がたまらない。 蟹マカロニグラタン。 表現しがたいほど滑らかなベシャメルソース。 幅広のマカロニ。 この幅広のマカロニを持ち上げると、ベシャメルソースがトロリと絡みつき、焦げたチーズの香りと蟹の香ばしさが加わる。 熱々を火傷しないように食すれば、これはもう、口の中一杯に蟹の香りが広がる。 食べるほどに汗が出るほど、恍惚になっていく。 少し、冷めてくるとベシャメルソースがまた違った表現をする。 塩分の塩梅が絶妙なのだ。 冷めてくるとチーズの塩気が気になる。 その事が計算されたかのように、いよいよ2本、3本のマカロニをまとめて口に放り込む。 しっかりしたパスタ地のため、冷めると小麦の香りが残っている。 素晴らしい料理だと思う。


