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うなぎ 川勢 (かわせい) 心のこもった調理が感じられる「鰻」

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うなぎ 川勢 (かわせい)

東京都千代田区富士見という地名はとてもいい名前ですよね。

皇居の北北西に位置し、飯田橋駅から九段に続く高台の上。

きっとここからは奇麗な霊峰富士が眺められるのでしょう。

 

その富士見の町のど真ん中にある『鰻 川勢』。

屋号には「東京の五つ星」とタイトルが付けられているのだが、どういうことなのでしょう。

 

「東京五つ星の鰻と天婦羅」 (見田盛夫/選定 東京書籍刊)という本に詳しく書かれているようだ。

 

お昼をだいぶ回った時間に行ったので、お客は一回りしていたのであろうか、かなり空席が目立った。

中二階が厨房になっており、地下が客席になっているという珍しいレイアウト。

ただ、残念なことに、まかないの奥が客席から丸見えなのが少し興ざめしてしまう。

テーブルも座席も清潔に保たれており、出された緑茶も大変おいしいものであった。

 

中入りはちょっと重たいので、うな重を注文した。

蒸し上げから始めるそうなので、注文から30分以上かかるという。

ひとりで伺ったため、気を使ってくれたのか新聞を出してくれた。

こういった気遣いは、なかなかありそうで無いサービスである。

 

待つ事40分。

ようやくお重が運ばれてきた。

 

とてもよく出来た上等なお重が使われている。

鰻屋はやはりお重に力を入れないとね。

なんたって、そんなにしょっちゅう食べれるもんじゃない、ご馳走なんだから。

 

川勢

 

丸一匹分の鰻が香ばしい湯気をあげて並べられている。

左、右、真中の順に置かれているのが重なり具合からわかるだろうか。

・・・どこから食べよう・・・。

 

鰻重を食べるとき、鰻を一口サイズに箸で割って、口に運び、その下から出てきたご飯を食べる。

私はいつも、そうやっていただくのだが、皆さんはどうされてます?

そう、左、右、真中の順に重なっているので、右利きの私は左端の鰻をつまみたいのだが、真中の鰻が邪魔して箸が通らないのである。

しかたなく、真中から大胆に箸を入れた。

 

「ほくっ・・」

なんと柔らかい。一口サイズに千切るはずが、ほろりとほぐれてしまう。

そうか、蒸し上げ~焼き上げたばかりなのでお重の蓋をしたために蒸気が冷え、鰻が湿ったのだ。

こういう時には、あわてずに、お椀をすすり時間を稼ぐしかない。

肝吸いはとてもいい出汁が出ている。

吸い物の味付けは、熱い状態で塩梅を決めてはいけない。

冷めると塩辛くなるからだ。

実に理想的な味付けの肝吸いだ。

 

さて、そろそろ・・

案の定、鰻の表面が少し冷えた事で、箸で割りやすくなった。

そう、評判通り少し辛口のたれで焼き上げている。

うまい。

 

あえて山椒などかけない方がいい。

これだけあっさりとした味付けは、しっかりと蒸し上げた事によってのみできることで、鰻の脂が程良く落ちているから、辛口のたれでいけるのである。蒸し上げが足りない場合、甘味の強いたれを使わないと臭みを消すことができない。

かといって蒸しすぎてしまうと、うまみがなくなってしまう。

実に微妙なバランスの上で成り立っている。

 

一気に食べてしまったのだが、胃がもたれないのも調理がよい証拠ではないだろうか。

次回は夜に伺ってみたい。

そう、鰻が大好きな大切な友人にご案内できるお店が一つ増えたのがうれしい。

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